未来の都市とモビリティサービス

自動運転が実用化されたとき、都市やそこに暮らす人の生活はどのように変わるのか、東京大学や東京藝術大学の学生を中心に議論し、イラストにしました。2017年11月の東京モーターショーで行われた内閣府SIP市民ダイアログでは、このイラストを用いて議論が進められ、私たちが移動のどのような部分に価値を見出すのかが議論されました。

designed by scheme verge ©STeLA

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イラスト作成のための議論は、東京大学の学生を中心に活動するscheme vergeの主導で進められ、社会基盤、都市工学、福祉・医療、文化人類学、といった多数の分野の学生が参加しました。

そこでの議論から、移動の価値は「速く、効率よく移動すること」にとどまらない(移動中の出会いや、運転することの清々しさ、移動体が目に触れることでの広告効果、体を動かすことによる健康促進など)ことが分かり、自動運転を用いた移動サービスの提供者は、多様な移動ニーズに対応してサービス設計を行う必要があることがわかりました。自動運転にまつわる研究開発が、社会に新しい価値をもたらすためには、様々な職業やライフスタイルの人が集まって移動の価値を掘り下げ、どのようなサービスが必要かを議論する場が必要です。

イラスト右上に描かれているのは、空き地に設置できる移動式ホテルです。宿泊機能だけでなく、映画館や楽器の練習施設のような機能を提供するようなサービスも検討されました。他にも、車線や横断歩道を道路にLEDディスプレイの層を重ねることで表示し、可変性・可動性を持たせる案や、移動しながら入浴ができるBath Bus、ごみ収集ロボットなども議論されました。

イラストの作成と議論のディレクションを担当した学生チームscheme vergeは、都市計画と移動サービスとを再設計するプロジェクトとして独立しました。現在もSTeLAと協力しながら、都市・モビリティ分野における学際的な議論を起こし、科学技術イノベーションを目指しています。

本業務は、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動走行システムの市民ダイアログの報告書図案作成業務として特定非営利活動法人STeLA Japanが受注したものです。